タバコを吸わない男、謎の言葉に戸惑い
2008/01/09
タバコの知識が全然ない。それを思い知らされた23歳の冬である。
マンガ喫茶で相変わらずバイトしてたんすよ。まあバイトつっても暇なんでレジでボーッとしてるだけなんですけど、微動だにせず突っ立ってるだけなんですけど、そういう銅像がレジに置いてあんのかって感じになってんですけど、そしたらですね、ブースにいたお客さんがツカツカとレジまで歩いてきて、
「セッタ」
って一言、ほんと一言だけ、言いまして、そんでなぜか俺に手渡す300円。「セッタ」という謎の一言と手渡された300円。その意味がまったく理解できず、レジの前に立ち尽くす23歳の冬。
風はまだまだ、冷たい。
いや、どうも後から聞いたところによると「セッタ」ってのはセブンスターのことらしいんだけども、うちのマンガ喫茶はタバコをいくつか置いてるから、それを買いたかったみたいなんだけども、普段まったくタバコを吸わないもんだから完全にパニック状態に陥った。もう、突然の事態を処理しきれなくてケムリ出そうになった。俺自身がタバコみたいになった。俺は試されてるのかって、300円と「セッタ」という言葉、そこから答えを導きだすことが出来るかね金田一君、ってことなのかって。
で、コンマ何秒かのうちに思考を巡らして、ひとつめに出てきた答えが、
「おこづかい?」
ってことで、こう、チップみたいなもんかなって、アメリカ文化にかぶれてる客なのかなって思って、「セッタ」ってのも「おつかれっした」を超高速で言っただけなんじゃないのか、俺に感謝の気持ちを表してるのかなって、この300円はありがたくポッケに入れて、笑顔で「どもっ!」って言っとけばすべては丸く収まるのかなって思って、300円をポケットに入れて、やんわり笑っといたら、
「いやいやセブンスター!」
って言われて、ようやくすべてを理解した自分は信じられないくらい顔が真っ赤になった。おこづかいじゃなかったんだ!って。ていうか、そりゃおこづかいじゃないだろ!って、なんだよアメリカ文化にかぶれてる客って!って思って、さっきまでの自分の脳みそに根性焼きしたくなった23歳の冬。
風はまだまだ、冷たい。

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