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2006/11/24

私はまだ全く結婚願望はなく、女の子と付き合っていても、「この子と結婚したい」とまで思うことはないのだが、過去に一度だけ、ある瞬間に、結婚したくてしたくてたまらなくなったことがある。

あれはたしか、蒸し暑い夏の夜のことだった。当時付き合っていた女の子が夕方からアパートに泊まりにきていて、私たちは、適当な夕飯を食べ、DVDで映画を一本みたあと、順番にシャワーを浴び、それから、1000ピースのパズルをしたのだ。ミッキーマウスかなにかの絵が描いてあるパズルだったと思う。

真夜中、私たちは二人で、隣同士に寝そべって、ほとんど会話も交わさず、黙々とパズルを作り続けた。途中、彼女が何度か、「もういいから寝よう」といった主旨のことを言ったように思う。だがそのころの私は、一度始めたパズルを放り出して眠ることは、パズルに対する冒涜であるように感じていた。要するに、狂っていたのだ。だから、彼女の提案を撥ね除け、再び、ひたすらパズルのピースを組み合わせ続けた。

パズルを始めてから、数時間が経っていたと思う。私は一息ついて、ようやく視線をパズルから外し、何の気なしに隣にいる彼女に目をやった。彼女は、いつの間にか眠っていた。パズルを作っている時の姿勢のままで。そして、彼女の二の腕あたりには、なぜかパズルのピースが一枚貼りついていた。

この瞬間だ。

この瞬間、私はもうどうしようもなく、「この女と結婚したい」と思ったのだ。この機会を逃したら、もう二度と、二の腕にパズルのピースが貼りつくような女とは出会えないと、そして、どれだけ着飾っていようが、顔が可愛かろうが、スタイルが抜群だろうが、二の腕にパズルが貼りつかないような女とは、俺は絶対に結婚したくないと、そう強く思ったのである。

この話はとても良い話だと思うのだが、これまで誰かに話して共感を得られた事はないし、あなたたちがキョトンとした顔をしているのもよく分かることだ。ただあれ以来、男ってもんは、しかるべき時に、しかるべき場所にパズルのピースが貼りついている女を見たら、その女と激しく結婚したくなるもんなんだと、そう遺伝子に刻まれてるのだと、そう思って生きている。

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p.h.s

2006/08/19

携帯電話をウィルコムに変えた。2900円で通話し放題だからだ。

これまでは一時間も電話すれば通話料は1000円を超えていたけど、今はどれだけ電話しても無料。それはとても素晴らしいことなんだけど、なんというか、まだこの事実に馴染めない。通話し放題というのはあまりにも浮世離れしている。どれだけ通話しても金がかからないなんて、じゃあ、これまで私が払ってきた通話料は一体何だったのだ。たわむれか? たわむれに請求してたのか?

だから長時間通話してると、すごくそわそわしてくる。本当に無料なのか? こんなに通話してていいのか? と、常に疑心暗鬼だ。ウィルコムが信じられない。大がかりな罠な気がする。いつか、「ドッキリ大成功」のプラカードを持ったウィルコム社員がやってきて、「ウィルコム!」の掛け声とともに私のおでこに請求書をビターン!みたいな、そんな未来がうっすら見える。

そんなことを考えてるから、結局ほどほどで通話を止める。電話を切った後、なぜかホッとしている自分がいる。一仕事終えた気分になっている。

この時に飲む缶コーヒーが、また美味い。

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田舎の駅でなかなか来ない電車を待つ

2005/04/09

田舎の駅でなかなか来ない電車を待つ。ホームに人影はまばら。時刻表はスカスカで、遠くからだと真っ白に見える。

白線の付近に、一目も憚らず抱き合うカップルがいた。男の方が、小声で女の耳元に何か囁いている。表情は、二人ともどこか暗い。おそらく遠距離恋愛なのだろう。きっと片方は入場券で改札を通り、別れまでの時間を少しでも延ばそうとしているのだ。私も遠距離恋愛をしていたことがあるから分かる。あれは別れ際の辛さが、普通のカップルの比ではない。他人の目など気にしていられないのだ。

駅のカップルは、相変わらず抱き合っていた。人の少ない田舎の駅だ。どうしても二人は注目を浴びる。だが人々の目に、人前でいちゃつく男女を見る時のような、非難の色は含まれていなかった。誰もが、その抱擁に見られる物悲しさを無意識のうちに感じ取っていたのかもしれない。

電車がやって来た。二人を引き裂くように、鋭い音を立てながら。大げさな音を出して電車が停止する。ドアが開く。男女は名残惜しそうに、互いの身体を離す。電車は無情にも、発車を告げるベルを鳴らす。二人はそれでもしばらく見つめ合っていたが、やがて諦めたように、仲良く電車に乗り込んだ。手を繋ぎ電車に乗り込んだ。

一斉にずっこける乗客。

脱線する電車。

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卒業論文

2005/12/07

なんだかすごく忙しくなってきている。卒業論文とかいう輩の仕業だ。

この四年間、ろくに大学にも行かず、要所要所で立ちはだかるテストは一夜漬けで殴り飛ばしてきたが、最後の最後でとんでもない敵に出会ってしまった。その強大すぎる戦闘力。こいつと比べると、これまで戦ってきたテストなんて赤子同然だ。

まさか大学がこんな少年ジャンプ的インフレを取り入れていたとは不覚であったが、私にだってまだ勝機はある。こちとら五年もウェブ上で文章を書いてるのだ。いかに面白いフレーズを書くか、いかに面白くオチをつけるか、いかに話を脱線させてゆくか、これらのことに心血を注いできたのだ。この経験は確実に私の血となり肉となり、卒業論文を書く上での足枷になる!

いやほんとね、駄目なんですよ論文におもしろいフレーズとか取り入れたら。オチなんていらないんですよ。話が脱線してくのなんて論外ですよ。西洋哲学におけるニーチェの位置付けを論じてたはずが最終的に一番おいしい中華まんの話になってる、みたいなことは求められてないんですよ。

まあ、このサイトで培ってきた技術はすべて捨てて、頑張ろうと思う。すごく真面目なことしか書かない。ちゃんと筋の通った論理を構築する。うんこって書くのも我慢する。うんこ自体は我慢しない。それくらい許されるはずだ。

そして、しっかりとした文章を書き、無事に結論まで執筆した後、

「なお、この論文は5秒後に爆発する」

って書こう。

あわてて論文を投げ捨てる教授を想像して頑張る。

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